勤務先で話題になっていた書籍『エクストリームプログラミング』について、メンバーに話したことを書き残しておきます。
TL;DR としては、書籍『エクストリームプログラミング』は初版の内容を踏まえた方が第二版を読み進めやすいかもしれないといったものです。
現代で書籍『エクストリームプログラミング』というと kdmsnr さんが訳した第二版新訳がピックアップされたりするのですが、Kent Beck が記した『Extreme Programming Explained: Embrace Change』には初版と第二版があり、第二版は Kent Beck が初版からの5年間の人生でリライトされた (2nd Edition の付加以外) 同じタイトルでの別物です。
初版と第二版の原書邦訳を交えてタイムラインにすると次のとおりです。
- 『Extreme Programming Explained: Embrace Change』 (1999年) ... 初版の原書
- 『XPエクストリーム・プログラミング入門―ソフトウェア開発の究極の手法』 (2000年) ... 初版の邦訳
- 『Extreme Programming Explained: Embrace Change, 2nd Edition』 (2004年) ... 第二版の原書
- 『XPエクストリーム・プログラミング入門―変化を受け入れる』 (2005年) ... 第二版の旧邦訳
- 『エクストリームプログラミング』 (2015年) ... 第二版の新邦訳 (ピアソン撤退によって旧邦訳は絶版になって、翻訳装丁新たに登場)
例えるなら新約聖書は旧約聖書を背景にしているような感じで、旧約 (初版) を背景として知っておくと旧約 (初版) から新約 (第二版) への繋がりを理解できると思います。
『エクストリームプログラミング』の初版は Kent Beck が Martin Fowler や Ron Jeffries らと取り組んだ C3 プロジェクトでのソフトウェア開発の実践での知見が色濃く出ており、第二版はその裏にある思想などが掘り下げてられています。第二版だけ読んでも抽象的でとっつきづらさがある場合は、初版を読んだ具象的な知識を元に第二版を読む方が Kent Beck の 5 年間の流れとともに理解が進むかもしれません。
また『エクストリームプログラミング』の初版には用語集がついており、エクストリームプログラミングにおけるプログラマーの定義も「分析、設計、テスト、プログラミング、結合を行うチーム内の役割」と記されています。これはエクストリームプログラミングを理解するのに大事なことだと思うので特筆しておきます。
最後に引用した書籍の Amazon へのリンクをつけておきます。
『Extreme Programming Explained: Embrace Change』 (1999年)
『XPエクストリーム・プログラミング入門―ソフトウェア開発の究極の手法』 (2000年)
『Extreme Programming Explained: Embrace Change, 2nd Edition』 (2004年)
『XPエクストリーム・プログラミング入門―変化を受け入れる』 (2005年)
- 作者:ケント ベック
- メディア: 単行本
『エクストリームプログラミング』 (2015年)
- 作者:ベック,ケント,アンドレス,シンシア
- 発売日: 2015/06/26
- メディア: 単行本