『AIとコミュニケーションする技術 プロンプティング・スキルの基礎と実践 』を読んだ。
結論として、これは読んだ方が良い。特に生成 AI == ChatGPT という状況だったり、生成 AI によってプログラマーの仕事がどうなっていくかという期待と不安を持っている人なんかにおすすめ。おそらく今後のエンジニアの世界で AI 対応済み人材となるには、この書籍のコンテンツに書かれているような議論はできる必要があると思う。用語理解からできるのもおすすめの理由。Fine-turning, In-context learning, Embedding, RAG といった用語をパッと説明できない場合は、読む価値があると思う。
書籍を知ったのは、Akapon さんのツイートがきっかけ。
【メモ】『AIとコミュニケーションする技術』森重真純 著(インプレス) pic.twitter.com/rm5Tkstfsw
— Akapon (@Akapon2010) 2025年4月5日
改めて、ひとことで感想をいうと読んで良かった。ある程度、ふだんから ChatGPT か何がしらの AI ツールと触れている方が、実感を伴って読めると思います。
章単位で感想を書いてみます。
chapter 1 は、本書を読んでみたいという動機として大きな章。本書と別に読んでいる『LLM 自作入門』での用語と目的にイマイチ慣れていない部分があったので用語整理をしたいと思っていたところ、この章に LLM 周辺の用語が書かれてるのが、本書を読んでみようと思った最初の動機だった。何か新しいことを覚えようとした時に、そのドメイン用語を知って覚えるのが重要だけれど、場当たり的に覚えていたところを俯瞰的に覚えられたので良かった。また知らなかった用語もあって、思った以上に自分には役立った。用語だけ見ても良くわからんが確実に減ったと思う。
chapter 2 は、「プロンプトデザイン」がテーマであるものの、読み方によっては AI へのプロンプティングというより、社会人としてのコミュニケーションの取り方みたいな話っぽくもあった。つまり AI への指示も丁寧にやれば、それだけ不明点ない結果としてレスポンスがあるという話。そういった意味で、AI 関係なくビジネススキルのおさらいとしても読めると思う。
chapter 3 は、プロンプティング手法の分類で、ふだんから使っている人にとっては、手法整理になるかもしれません。
chapter 4 は、ほとんど無自覚に行なっているプロンプティングについて、それぞれ一般的な命名がされていたりすることを知れた章だった。例文も示されて実践的な章だったと思う。
chapter 5 は、個人的に購入して一番良かったと思う章。chapter 4 までの話を読んでこれまでとこれからの AI を考える土壌を耕し直したところ、じゃあ仕事でどのように生かすといったことを考えていけるような話になっていた。また、界隈でも耳にする「エンジニアの今後のお仕事」についての考察についてもアップデートした考え方で望めるのでは?というストーリーでおすすめ。個人的には chapter 5 の 02 はいい話だったし、5-8 にあるように、Garbage In, Garbage Out を減らすデータクレイジングはエンジニアリングの世界として重要に思えた。
chapter 6 は、これまでの話を前提とした未来像への考えを見ることができる。著者の森重さんの考え方は、自分がもともと持っていた AI との共生への考え方と大きく違っていなかったというのも読みやすさにあったけれど、そういった方針レベルではなく、実際に AI ビジネスをしている現場視点での話として蘊蓄に富んでいた。
著者が現場の AI に精通しているのが伝わってきた一冊で、LLM を取り巻く社会についての理解が上がった気がします。繰り返しになるのですが、特に生成 AI == ChatGPT みたいな感じで捉えている人は、一読すると世界観をアップデートできると思うのでおすすめです。読みやすいので週末にサッと読めると思います。